音楽理論は必要か?
実は「数を数える力」があれば誰でも学べる

MITC ACADEMYの音楽理論の考え方

「必要か、不要か」の議論を超えて。
MITC ACADEMY主宰が、音楽理論との向き合い方を語ります。

01

音楽理論は、必要か。不要か。

結論から言えば、私たちは「必要」だと考えています。

音楽理論が必要か不要か——この問いに、MITC ACADEMYは「必要である」と断言しています。

もちろん、音楽理論がなければ音楽ができない、作曲ができない、というわけではありません。正直に言えば、私自身、音楽理論が全くわからない状態で作曲を続けてきました。なぜこのコードからこのコードへの進行が気持ちいいのかもわからないまま、好きなアーティストのコード進行を真似て、「なんとなく、この動きが自分は好きなんだな」という体験を積み上げて、曲を作ってきたのです。

ただ、いつか限界がやってきます。これが、いわゆる「作曲の壁」なのかもしれません。理論なしの状態で100曲を作り上げるのは、おそらくかなり厳しいと思います。

「自由に作る」ほど、難しいものはない。

「自由に作曲する」とは、どういうことでしょうか。
私は、「自由」という言葉ほど難しいものはないと思っています。「好きにやっていい」というのは、逆に、ある種の大きな制限でもあるからです。

「こういう曲を作りたい」という時に、「この感じなら、こういうコード進行が合うのではないか」と引き出しを開ける——これこそが、音楽理論と密接に関係しています。

音楽理論とは、いわば「作曲の引き出しを作るもの」です。
いかに自分の引き出しの中に、あらゆるレパートリーをインストールしておくか。音楽理論を学ぶ意味は、ここに尽きると思っています。

「理論不要」で活躍する人に、共通すること。

一方で、「音楽理論は不要」という方も、世の中にはたくさんいます。実際に、理論を知らずに大活躍されているアーティストや職業作家の方もいらっしゃいます。

ただ、そうした方々に共通して多いのは、小さい頃から音楽教育を受けていた、あるいは楽器の経験があり、膨大な数のコピーをしてきた、という点です。英語で言う「ネイティブ」のような存在ですね。

では、こうした方々に理論は必要ないのかというと、そうとも限りません。実際に、ネイティブな方でも「理論を学びたい」という方はいらっしゃいます。アウトプットの面ではもう必要ないとしても、「自分がやっていることは正しいのか」という安心材料のために学びたい、という方も、これまでにいらっしゃいました。

これらを踏まえて、「音楽理論は必要か、不要か」を考えると——
私たちMITC ACADEMYの最終的な結論は、やはり「必要」ということになります。

02

アウトプットにおける、クリエイティブと理論の関係

理論は「0→1」ではなく、「1→10」のためのもの。

実際に楽曲を作る上で、音楽理論との関係をお話しします。

音楽理論をしっかり学んでおくと、その技術だけで楽曲を作り上げることもできてしまいます。ただ、それはクリエイティブにとっての弊害にもなり得ます。

何か新しい曲を生み出したいと思った時、自分の中に「こういう曲を作りたい」「こんな感じにしたい」というイメージがあるはずです。この部分——いわゆる「0から1」には、理論が介在する余地はありません。

曲を思いついた時、頭の中にはリズムが鳴っているはずです。このくらいのテンポで、こういうドラムのビートで、その上にハーモニー(コード)とメロディーが乗る。これが、音楽の三大要素です。リズムがあり、その上にハーモニーがあり、さらにその上にメロディーが成り立ちます。

メロディー
ハーモニー(コード)
リズム

音楽の三大要素|リズムの上にハーモニー、その上にメロディーが成り立つ

そして音楽理論は、主にハーモニーとメロディーに関する理論がほとんどです。リズムについては、体系的な理論というものは、世の中にそれほど確立されていません(ジャンルごとに「このグルーヴは押さえておくべき」というものは存在します)。

ですから、「音楽理論を勉強すれば何でも作れるようになる」というのは、少し過度な期待です。ただし、頭の中でイメージしたものを、目の前のDAWに落とし込むスピードは、理論を学んでおくと圧倒的に速くなります。

理論は「0→1」ではなく、
1→10」のためのもの。

だからこそ、理論は「0から1」ではなく、「1を10にする」ために必要なものだと考えています。

感動は「0→1」に秘められている。

音楽理論をあまりに突き詰めすぎると、この「0→1」をないがしろにしがちです。私は、人が感動する音の要素は、この「0→1」に秘められていると思っています。

そして残念ながら、この「0→1」の作業の苦しみは、音楽理論では解決してあげることができません。断言します。「0→1」は、理論を学んでいるかどうかに関係なく、永遠に苦しいものです。それは自分の中にある感情や、「こう表現したい」という衝動なので、理論が介在する余地はないのです。

ただ、それが明確になった後——楽曲を構築する力、その次のアレンジの力においては、音楽理論はものすごく強力な武器になります。

私は音楽理論を教える立場でありながら、「理論さえあれば何でもできる」とは思っていません。「0→1」を鍛えることは、アカデミックに教えるのが非常に難しい面があります。五感で自分がどう感じるか、という部分もあるからです。有名なクリエイターの方ほど、この五感を大事にされています。机の前に座っていても、何も生まれない。旅行に行ったり、人と会って話したり、美味しいものを食べたり——そういうことで養われていく能力なのです。

音楽理論がクリエイティブのすべてを占める、という勘違いはしないでいただきたい。ただ、仕事をしていく上では、「思いつかなかったから締め切りに間に合いません」は言い訳として成立しません。

だからこそ、「0→1」を死ぬ気で発想し、その先は技術を使って仕上げていく。これが、クリエイティブと音楽理論の、非常に有効な関係性だと考えています。

03

インプットにおける、理論を知るメリットとデメリット

上達しない人は、「聴き方」が浅い。

先ほどはアウトプット面での理論のメリットをお話ししました。
次は、インプットの面です。

良いアウトプットのためには、良いインプットが欠かせません。
たくさんの音楽を聴いて、「この部分いいな」と思ったところを、ただ「いいな」で終わらせず、「こういう構造になっているのか」と頭で理解できないと、それを自分の楽曲に活かすことができません。

作曲があまり上達しない方は、まずこのインプットが浅いことが非常に多いです。同じ楽曲を聴いていても、そこから得られる「栄養素」は、人によって大きく差があります。その差とは、音楽を「分解して聴けているか」ということです。

分解するとは、「リズムがこうなっていて、ここがアクセントになっている」「このコード進行の時、メロディーはこのインターバルから始まっている」と、客観的に見る能力のことです。この分析ができているかどうかで、得られる情報は大きく変わります。

インプットの場面で音楽理論を知っておくと、得られる情報は格段に上がります。過去に教えていた生徒さんからも、「音楽の聴き方が変わったのが大きかった」とおっしゃっていただくことが多いように、音楽理論はインプットの部分で、最初に効果を発揮するのではないかと思っています。

理論を知ることの、意外なデメリット。

一方で、インプットにおいて理論を知ることのデメリットもお話しします。

理論がわかると、「世の中の音楽って、意外と同じコード進行で作られているんだ」と客観的に見えてしまい、「音楽が面白くないな」と感じてしまう方もいるようです。ヒット曲のパターンも、見えてきてしまいます。

ただ、「みんな同じコード進行だから、同じ進行をやれば自分もヒット曲を作れる」かというと、そんな甘いものではありません。メロディーについては、「こういう動きをすると響きが美しくなる」「こういう積み方はあまりよろしくない」といったことは理論で学べますが、キャッチーで印象に残るメロディーは、これまでどんな音楽を聴いてきたか、自分がどんなメロディーラインを好むか、ということが大きく関係します。

理論を学んでも、出てくるものはクリエイターによって大きく差が出ます。それはこうした部分にあるのです。メインのメロディーに対して「こう作れば音がぶつからない」ということはMITCのカリキュラムでも扱いますが、「ヒット曲のメロディーを作り上げる」といったものは、参考程度のお話にとどめています。

理論のデメリットを一つ挙げるなら、音楽を客観的に見過ぎてしまい、自分自身が飽きてしまう——そういうことが起こり得る、という点かもしれません。

04

理論は、途中でやめないでほしい。理解度6割でも最後まで。

音楽理論は「積み上げ」の学習。順序がすべて。

次に、音楽理論の学習を途中でやめてしまうことの弊害についてお話しします。

音楽理論は、他の勉強と少し違う部分があります。「積み上げ」の学習だということです。先に進むほど、それまでに出てきた内容を「知っていて当たり前」の前提で説明が進みます。だから、学習の順序が非常に重要になります。

MITC ACADEMYのカリキュラムで最も苦労したのが、この「理論を学習する順番」です。ここがきちんと設計されていないと、学習中に混乱が起きます。「これは例外で」という話を途中でしなければならなくなるからです。

もちろん、「これが理解できるのはもう少し先です」という箇所も出てきます。それは他の授業との関係で、先に知っておいた方が、他の授業での理解度が高まるように、と想定して作られています。

ですので、MITCの音楽理論は、チャプター1からチャプター6まで、すべて履修していただきたいと思っています。途中でやめてしまうと、「なぜこれが成立するのか」という場面に出くわした時に、自分の選択肢が少ない状態では理解できず、分析ができなくなってしまうからです。

理解度6割でも、まず最後まで。

大好きな曲に、ちょっと特殊な音が使われている。「でも、なぜこれが成立するのだろう」——そういうことを、理論を使って分析していくことになります。その時、答えを導くためには、自分の引き出しにどれだけレパートリーがあるかが非常に重要になります。だからこそ、音楽理論の学習は、できれば途中でやめないでいただきたいのです。

最初から最後まで一気に行くのも一つの手ですが、休み休みでも構いません。まずはここまで勉強して実際に曲を作ってみて、わからないところが出たら、さらに続きを勉強する。そういうペースでも問題ないと思います。

MITC ACADEMYは、お仕事をされている方がほとんどです。限られた時間で学ぶ方が多いので、「まずはこのレベルまで到達して曲作りをし、次のタイミングでここまで勉強する」といったご相談は、カウンセリングで受け付けています。一方、「知らないことがあるのが嫌だ」という方は、最初にチャプター1から6まで履修するのが良いと思います。

この時、理解度は6割・7割でも問題ありません。まずは全部受けることが重要だと私は考えています。私自身、バークリーオンラインで勉強した時、最初の授業から最後まで、1回ですべて理解できたかというと、そんなことはありませんでした。全部を終えた後に復習していくと、わからない点が出てきます。その時に教科書や録画を見返すと、7割から90%、100%へと、どんどん理解を追い込んでいける。そう感じています。

今はDAWが発達した時代なので、曲を作る時もリアルタイムではなく、ゆっくり考えながら打ち込むことができます。わからない場面に出くわしたら、自分のノートを見て「これだ」というところを見つけ、その壁を乗り越える。そういう使い方もできると思います。

なぜ「バークリーメソッド」なのか。

まずはチャプター1から6まで頑張って学んでいただきたい。チャプター7は、いわゆる「無調」——調性からいかに外れるかという内容になるので、商業音楽の歌ものには特に必要ないかもしれません。ただ、映像音楽や、絵に対して感情をつけるという部分では今後必要になるので、その方面を目指す方には、アドバンスの履修をおすすめします。

音楽理論を途中で投げ出すと、それが理論の骨格だと思い込んでしまう方もいらっしゃいますが、それなりの量があります。MITCでは、バークリーオンラインで1年間で学ぶ内容を、2年で学べるスピードに落としています。だから、働きながらでも学習することができます。

MITCの音楽理論は、基本的に「バークリーメソッド」と呼ばれるもので構築されています。バークリーは、ポピュラー音楽理論の体系化に大きく貢献したと言われており、その中核になる部分です。ここを押さえておけば、実際にいろいろなミュージシャンとやり取りをする時に、意思疎通ができないということはないと思います。

音楽理論は、共通言語

音楽理論とは、自分以外のミュージシャンや音楽家と意思の疎通を図るための「共通言語」だと思っています。だからこそ、学ぶなら、最も世の中に広まっている音楽理論を学ぶのがベストです。

独自の音楽理論を構築・展開されている方もいて、それはそれで素晴らしいことだと思います。ただ、他のミュージシャンとの共通言語がなくなってしまうので、汎用性という意味では少し低いかもしれません。

ですから、これから音楽理論を学ぶなら、基本的にはバークリーメソッドを土台にしたものを学び、その後で他の考え方に触れていく——これが一番良い勉強の仕方だと思っています。ぜひMITC ACADEMYの音楽理論を学んで、ご自身の制作活動の糧にしていただければと思います。

05

音楽理論を学ぶ上で、最低限必要なこと。

音楽理論は、「数を正しく数えられれば」誰でも理解できる。

最後に、音楽理論を学ぶ上で最低限必要なことをお話しします。

結論から言うと、音楽理論は「数を正しく数えられれば」、誰でも理解することができます。では、その「数」とは何か。それは、インターバルと呼ばれる、音と音の間の距離です。

音楽理論は、数を正しく数えられれば
誰でも理解できる。

音楽理論は、このインターバルを正しく捉えることができれば、誰でも最後まで学習できます。根本のところは、実はそれだけなのです。

ただ、後半になるほど複雑な内容が出てくるため、この「数を数えるスピード」「インターバルを求めるスピード」が遅いと、なかなか頭の中で理解が追いつきません。そこでイライラしてきてしまう——これが、いわゆる音楽理論で挫折するということです。

決して難しいことを学んでいるわけではありません。目の前にある音符と音符の距離さえしっかり把握できていれば、時間はかかっても、必ず理解できます。

だから、譜面が読めた方がいい。

もちろん、譜面が読める方が理解のスピードは速くなります。MITC ACADEMYも、譜面を読めるようになることを推奨しています。音楽理論も、音符を使って学習した方が、圧倒的にスピードが速いからです。初めはリズムが読めなくても音名と譜面上の位置さえ理解出来れば全然大丈夫です。

ピアノロールを使って解説されている方も多くいらっしゃいますが、残念ながらピアノロールのウィンドウでは、ある程度のところで理解が難しくなる場面が出てきます。そのため、当アカデミーではその方式を採用していません。

MITCでは、この「インターバルを求める力」を、前半でしっかりと養います。これができないと、どんなに頑張っても音楽理論は理解できません。これは最初に断言しておきます。鍵盤と鍵盤、音と音の半音の数を、正確に数えること。これができないと、あるいは数え間違えてしまうと、先に進めなくなってしまいます。

だからこそ、独学はおすすめしません。

音楽理論は、正しく数を数えられれば誰でも理解できる。しかし、これを本にすると、インターバルのページはわずか2〜3ページで終わってしまうのです。それほどシンプルで、それほど重要なことなのです。

だからこそ私は、音楽理論を独学で勉強することには反対しています。ある程度理解した上で本を読むのは問題ないと思います。ですが、まっさらな状態の人が本を読んでも、「なんとなく理解したつもり」になるだけで、成長が止まってしまうと考えています。

音楽理論は特に、前半の内容を正しく把握できているかどうかで、後半の伸びが大きく変わります。だからこそ、最初の一歩を、正しく踏み出してほしいのです。

GRADUATE VOICES

修了生インタビュー

MITC ACADEMY主宰「谷 正太」の下で学び、修了した先輩たちの声。

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作曲の

「引き出し」

音楽の

「聴き方」

通じ合うための

「共通言語」

音楽理論は、あなたの「作曲の引き出し」を増やし、音楽の「聴き方」を変え、
他のクリエイターと通じ合うための「共通言語」になります。

そして、その第一歩となる「インターバルを数える力」は、
正しい順序で、正しく学ぶことが何より大切です。
MITC ACADEMYは、その理論を、働きながらでも学べる形でお届けしています。

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